アニメ「パプリカ」を見て

原作は筒井康隆の小説「パプリカ」。

SFあんまり読まないけど好き。

先に乾緑郎「完全なる首長竜の日」を読んでデビュー作でこのクオリティはすごいなと思ってたんだけど、たぶんパプリカの影響を受けて書いたんだろうなって後で思った。

どっちもいい作品です。

そういえば筒井康隆さんといえば職場の先輩に勧められた「マグマグ星人」もよかった。

いろいろ書けてすごい。

 

アニメ見てて思い出したけど筒井康隆「パプリカ」を読んだ時、私もパプリカみたいな仕事をする夢を見た。

つまり他人の夢に侵入して悪いことしてる人を追う夢。

今までに見たこともない独特な世界観の夢に侵入したんだけど、アニメ「パプリカ」の感じそっくりだった。

原作もアニメ制作スタッフも私の想像力もすごくない?

 

遠回りした。あらすじに入ろう。

夢と現実が交差する話。
嫌いなわけない。
他人と夢を共有できるデバイスDCミニが開発された世界が舞台と なる。
DCミニを活用し他人の夢に侵入する夢探偵が主人公パプリカ( 千葉敦子)だ。
他人の夢に侵入するパプリカの目的は対象者の精神病を治療すること。
DCミニを開発したのは天才発明家の時田( ものすごく太っている)。
パプリカは表向き精神科医として病院に勤務しており、時田は同僚。
ある日、DCミニが何者かに盗まれ、院長が夢に侵入され錯乱、 病院の窓を突き破って飛び降りてしまう。(なんとか助かる)
パプリカは時田の助手であった氷室が犯人であると予想をたてるが 、真犯人は病院の副理事。
パプリカと時田がDCミニのことでノーベル賞を受賞することを妨 害したかったらしい。
やがて夢の世界は現実と融合し、副理事は世界をものにしようとする。
パプリカは自分が診ている患者の刑事とも協力し、 副理事を食い止めにいく!

私結構この刑事が好き。

学生時代は親友と二人で映画監督を目指していて親友が犯人役、刑事が刑事役で追いかけっこする映画を撮ってた。

親友は死んでしまって刑事さんは映画監督を目指すのを辞めて本当に刑事になる。

ここの話すごく好き。

映画の内容が「かつて親友だった二人が追いかける側と追いかけられる側になってひたすら鬼ごっこするだけ」なのもいい。

そこに二人の回想が入り混じるんだけど、現実に夢が溶け込んでくる「パプリカ」本編の構成と表現が似ているのがとてもお洒落。

こういうセンス良い表現大好き。
「夢」 というなんでもありな舞台を有効活用した独特の世界観が魅力的な 作品なのでアニメとの相性がいい。
そしてこの話の意外な結末は、パプリカが時田と結婚することだ。
原作を読んだ時にびっくりした。
どうしてパプリカには時田だったのだろう、 という説明が足りないので唐突に感じる。
布石はあるし「人は見た目じゃない」理屈もわかるけど、そもそも「才色兼備の女性が容姿の優れない男性を恋愛対象として見る」 ことが男性特有の幻想であるように感じた。
それが悪いとかこの作品の欠陥とかそういうことを思ったのではなく、「原作者が女性だったら時田は一生ただの同僚だっただろうな」 と思った。
「男性は~」とか「女性は~」 とか考えたくないけど小説を読んでいると結構こういうことを思っ てしまう。
私の視野が狭いのかもしれない。
私の読み方ちょっと嫌だな変えたいなと思いつつ、「でもやっぱり男女の認識差って小説に出るよね!?」 と思う自分も無視できない。
こういう独特の世界を描けるようになりたい。好きな作品だった。